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身近でできる安全・安心有機栽培の基礎知識(3)

身近でできる安全・安心有機栽培の基礎知識・第三回目は、「タネまき・育苗管理」についてお送り致します。
野菜や花を育てるために大切なことは、栽培時期や病害虫対策などさまざまですが、最初の苗の善し悪しで、その作物の出来が左右されます。
まずは健全で丈夫な苗を育てること、それが成功の第一歩です。

「土作り半作・苗作り半作」聞いたことありますか?


作付け品目と品種を間違わなければ、また、肥沃な土壌に健全で丈夫な苗を植えれば、基本的には、後はおてんとうさま任せで収穫が可能という意味です。これは、いかに「土作り」と「苗作り」が重要かを言い表しています。

「苗作り半作」


作付け計画、導入品種が決まったら、次はタネまきと育苗時の管理方法がとても重要になります。畑に直まきして育苗するのか、育苗箱やセルトレイなどで自家育苗するのか、その土はどうするのか、できあいの苗を購入して植えるのか、その管理方法はどのようにするのかなどを考えなければなりません。
 
有機JAS認証制度下では、有機栽培に使用するタネや苗は、有機栽培された作物から採取されたタネや苗を使用して有機的に育苗管理するのが原則です。しかしタネが自家採種や交換、購入出来ない場合は、有機栽培されていないタネ(化学肥料や農薬、種子処理など化学合成物質が極力使用されていないもの)を使用することも例外的には可能です。
 
その場合、育苗管理においては有機的に管理する必要があります。有機JAS認定を取得した農家さんは、こんな面でも苦労しているのです。

>購入苗選びのポイント


外観は、茎は太く節間が短く、茎葉がガッチリしていて、葉色が明るい深緑色で、生長点のある芯が淡い緑で若々しく、新葉が素直に伸びようとしているものを選びます。植えつけるときはそのまま植えつけずに、根が畑の土に早くなじむように、ポットの下部や側面の土を半分ほど指でかき落とし、根をむき出しにします。古く老化した根はカットしてから植えつけます。
 
化学肥料が効きすぎたチッ素過剰の苗は、ヒョロヒョロとして茎が徒長(節間が長い)し、葉色が黒緑色で、葉が大きく厚みがありません。また、垂れ下がる傾向があり、軟弱で育てにくいので避けたほうが賢明です。
 
特に、定植する畑が有機栽培を目指し、効きめの遅い有機質肥料を使用する場合はなおさらで、チッ素過剰の苗はなかなか活着せず、生育が遅れる傾向にあります。
 
根に障害があるものは、双葉が黄化して枯れていたり、葉色が薄く、芯の部分が黄色く元気がない傾向にあります。ポットから抜いて根を見ると、底でとぐろを巻いて褐色になっていることが多く、根が真っ白で、側面には細かな細根や根毛がいっぱい張っている健全な苗の根との違いは一目瞭然です。

よい苗の選び方




自家育苗を行うメリットとは?


導入品種の苗が入手できない場合や、よい苗が見つからない場合は自家育苗する必要があります。初心者にはかなり勉強(育苗日誌をつけておくと次回の参考になりますよ!)が必要ですが、自家育苗のメリットは、管理がしやすいこと、幼苗時の病害虫から守りやすいこと、そろった丈夫な苗を作りやすいこと、よい苗のみが選択可能で収穫時期を早めることができる、などいろいろありますが、何といっても、発芽の段階から一貫して管理する楽しみではないでしょうか?
 
育苗箱やセルトレイにタネまき用土を利用してタネまきする場合は、肥料は不要です。肥料分を含まないピートモス(乾燥しきってないもの)や赤玉土(小粒)や黒土(粉状)にくん炭などを配合し、水はけ、水もちのよい清潔な用土にしましょう。
 
双葉が開くころまではタネの栄養で育つので肥料はいりませんが、本葉が出始めたら薄めの液肥(有機栽培では魚から作られたアミノ酸液肥などが使用されます)を水やり代わりに2〜3日おきに2〜3回散布し、勢いよく生長し始めたら少し濃いめのものを1週間おきに散布し、鉢上げまたは畑に定植します。
 
発芽時の水やりで特に注意が必要なのは、発芽がそろうまでは用土を絶対に乾かさないことです。タネは水分を吸って休眠から目覚め、根と芽を伸ばしますが、途中で用土が乾燥してしまうと出始めた根や芽も枯れてしまうからです。
 
逆に発芽がそろった後は水やりを控えめにします。日中はやや弱々しくとも慌てて散水する必要はありません。早朝に見て葉露が出ているようであれば水分は足りています。用土が乾燥し葉露が出ない場合に少量多回数で水やりした方が丈夫な根を張らせることができます。

育苗箱を使った自家育苗のポイント


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