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地球温暖化と農業

2.地球温暖化の農業への影響

世界各地で温暖化の影響と考えられる現象が発生しています。その中でも、農業に関係してくるのが異常気象による水害や干ばつとそれに伴う農作物の生育障害です。

 

生育障害

水稲の場合

気温上昇による水稲への影響として以下のことが考えられます。

気温上昇による水稲への影響(図)

気温上昇と日射量のみが変化すると仮定した場合の国内の水稲収量への影響は、北日本では増収、東海から西南日本にかけては減収と収量の不安定化が考えられます。
これらの影響は、品種の変更(高温に耐えうる品種を選定し作付け)によってある程度対応出来るため研究が進められていますが、かなりの努力が必要とされそうです。
また、国内だけでなくアジアなど海外に目を向けると、高潮や海面上昇による水田被害で生産量へのより大きな影響が懸念されます。

 

小麦・トウモロコシ・大豆の場合

小麦、トウモロコシ、大豆が受ける影響

小麦・トウモロコシ・大豆への影響として以上のようなことが考えられます。これら3つの作物についても、水稲と同様に栽培時期を前後にずらすことや品種改良などの対応策が必要です。

 

野菜・果樹の場合

キャベツやホウレンソウ、ブロッコリーなどの比較的寒冷な気候を好む野菜について、深刻な影響が憂慮されています。

果樹については、リンゴのように色付きが悪くなるもの、味が落ちるもの、保存性が落ちるものなども出ることが予想されており、その対策に向けた研究が続けられています。

温度処理によるリンゴの品質の差

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畜産の場合

高温による乳牛の乳量低下や乳質低下とそれらの恒常化が危惧されています。
また、高温によるストレスで、鶏、豚、牛等の肉質の低下も言われており、その解決策を探る研究が進められています。

害虫被害

気温が高くなると、害虫の発生数が増加し、生育域も拡大するとみられています。環境の変化に伴い、新しい害虫の南方からの侵入も懸念されます。

アブラナ科の野菜の害虫であるコナガは、気温が上がった場合、世代交代が早まり、発生数が増える可能性が高いとされています。西日本を中心に、春の被害の早期化、秋の被害が遅くなることなど、被害時期の長期化も予想されており、その対策を迫られることになります。

キャベツ畑とアブラナ科野菜の害虫
コナガの幼虫

獣害

地球温暖化による暖冬と積雪の減少で、サルやイノシシなど獣の数が増加するという指摘があります。すでに現在でも、暖冬の影響で越冬しやすくなりサルやイノシシの生息数増加と生育域拡大が報告されています。これらの動物による作物被害の増加が懸念されます。

 

土壌環境の悪化
有機肥料と化学肥料の使用割合による土壌環境の変化

高温で有機物や肥料成分の分解速度が速まること、また土壌中の微生物の種類が少なくなり、地力が落ち、作物の味も収量も落ちるという影響が出ます。 したがって今まで以上に有機物の堆肥化をすすめ、それを土に戻す、地力のある土つくりが欠かせません。
これは遠回りをしているように見えるかもしれませんが、実は一番確実な温暖化への対応策になります。

また、雨の降り方が現在よりずっと激しくなると予想されるので、養分に富んだ表層の土壌の流出といった問題も心配です。
特に傾斜地にある農地では、土壌の流亡対策が必要になります。

水環境の悪化
現在と2100年(予想)の降雪深の比較
地球温暖化で憂慮すべき大きな変化に、雨の降り方があります。これは、降るときは豪雨になり、降らないと日照りが続くという、より極端な天候になると予測されています。

さらに問題なのは台風で、発生数は減るものの規模が大型で強い台風が増えると言われています。水稲や夏野菜への対策が必要です。

日本でも、慢性的な水不足が心配されます。とりわけ不安なのが、冬の積雪量の減少です。冬に雪として水分を蓄えておくことができないと、春の作付けに必要な水の確保ができなくなる恐れがあります。

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